世の中に子育て本はたくさんありますが、発達に特性を抱える子ども達を育てていて思ったのは、本の通りにしても、あてはまらない、うまくいかないと感じることが多くあることでした。定型発達の子にむけた子育て本は、親である自分を、なぜうまくいかないの?と追い詰めてしまうこともしばしばでした。そんな、発達に特性を抱える子供さんを育てている親さん向けに、参考になった本を三冊ご紹介します。
脳の発達に大切なことは3点あると思っています。ひとつは心の問題。そして栄養面。そして身体面。わたしの推奨するみとめ育とは、心の面からのアプローチです。それ以外に、脳を発達させるには栄養、行動といった面からのトレーニングなども必要です。その3点からみて、発達障害児の子育ての参考となる本を意識して選んでみましたので、人よりも手のかかる子育てを頑張っている親さん達の助けにすこしでもなればと思います。
この記事の内容
発達障害児子育ておすすめ本1.お母さんはしつけをしないで
1.この本を読まない方がいい親さん
心理学教授であり臨床心理士でもある長谷川先生によるこの本は、ショッキングな題目に違わず、わたしたち親にとって耳の痛い内容もたくさん含まれています。先生は初めの言葉の中で、次のような人はこの本を読まないでください、とまで言っています。それは、次の五つの考えを絶対に手放せない人です。
①「子どもの将来のために、小さいうちから勉強させるべきだ」
②「子どもは努力と忍耐を学び、人に迷惑をかけないようにしないといけない」
③「子どもは常に親や先生など目上の人を敬い、言われたことには従うべきだ」
④「人間は泣いたり怒ったりと、むやみに感情を出すべきでは無い。」
⑤「親が子どもの言い分に耳を貸すのは、たんなる甘やかしにすぎない」
2.この本をぜひ読んでほしい親さん
いかがですか?反対に、次のような人には効果てきめんかもしれないと書かれています。
①子どもを思い通りにしつけられなくて困っている
②子どもが何らかの「問題」や「症状」を呈して、悩んでいる
③子育て下手な自分のことが嫌いで、落ち込むことがある
④家族関係がギクシャクしていることに気づいている
この本は、発達障害のお子さんを育てている親さんだけでなく、すべての子育て世代にとっても、一度は目を通してもらいたい内容が含まれています。親である私たちは、子供のためを思って、たくさんの指示命令を子供達に与えています。特に、発達に特性があることで、親や先生は子供達を良い子にしよう、とやっきになってしまうのですが、その弊害はとても大きく、生きていくのに大切な自己肯定感をぺしゃんこにしてしまい、本来ならもっと伸びていく芽を摘んでしまっていることに気づいていないのです。自分を変える、というよりも、不要な価値観を手放すことができる一助となる本です。
発達障害児子育ておすすめ本2.すべての不調は自分で治せる
1.発達障害、栄養面のアプローチ
この本の著者である藤川先生は、広島の病院に勤務されている心療内科の先生です。たくさんの症例を見ていくうちに、心の問題と、栄養の問題の関連性に目を向けるようになり、この本を出版されました。発達障害があると、二次障害として心の問題を併発しやすいことがわかっています。人間関係がうまくいかず、自己肯定感が育たないことが根底にあるわけですが、その心の問題に対して、栄養の面からのアプローチを考えることができる本となっています。
藤川先生が特に問題視しているのが、現代人のたんぱく質不足と、鉄分の不足です。特に女性は生理があり、毎月たくさんの血液を必要としているにも関わらず、過剰なダイエットなどから、鉄分不足を起こしています。
実は先進国の中でも日本は特に鉄分摂取量が低いそうです。なぜなら、いち早く鉄分不足の問題に気づいた欧米では、国の政策として、小麦に鉄分が添加されているからなのだそうです。それほど鉄分は私たちいとって必要な栄養素なわけですが、特に藤川先生が注目しているのが、フェリチンという値です。
これは貯蔵鉄といって、血液中に含まれるヘモグロビン値ではなく、体内に貯蔵される鉄分の量です。このフェリチン値が低いと、辛さの不調だけではなく、うつ、パニック症といった心の問題も引き起こすことを指摘されています。そしてその中には、発達症がいの症状にも影響があることを指摘されているのです。
2.栄養不足の親から生まれた子ども達
鉄不足のお母さんから生まれた子ども達は、男の子であっても、慢性的に鉄不足をもっています。私自身、二回の妊娠時には両方とも鉄剤を処方されていました。脳は体重の2%の重量しかないにもかかわらず、全体の1/5の血液量を必要とするそうです。脳が発達するために、血液がどれだけ重要か、この値だけでも分かるでしょう。
藤川先生は面白い先生で、病院にはこないでください、と、この著書の中で訴えています。発達障害の子をもつ親さん達がこぞって先生の病院に押しかけたことで、肝心の精神的問題を抱えている患者さんへの対応に手が回らなくなってしまったそうです。この題名にもなっているように、すべての不調は、病院にこなくても、自分で治せる、病院で、先生に治してもらおう、という考え方こそを、まず捨てるように、とは耳の痛い言葉です。まずは自分でよく学び、できることから実践してください、とわかりやすく私たちが始められることを書いてくださっていますので、一読をおすすめします。
発達障害児子育ておすすめ本3.拝啓アスペルガー先生
1.行動療法からのアプローチ
この本は、NPO法人アスペ・エルデの会の情報誌に掲載していたものを、一冊の本にまとめたものです。この著者である奥田先生は、子育て界のブラックジャックの異名をもち、行動心理士という立場から、行動分析学という手法をもとに、発達の問題や困り感を抱えているこどもたち、また育てている親さん達を対象に、行動療法、家族支援、ペアレントトレーニングなどの支援を行っている先生です。
2.多岐にわたる発達障害の症例
題名には、アスペルガー先生、となっていますが、載っている症例は多岐にわたり、ADHDのお子さんや、暴力、おねしょ、学習障害といった問題を抱えている子供達へ、思ってもみない方向からのアプローチが描かれています。また、親の向き合うべき問題、学校との対応にも切り込んでいます。
3.自分でできることと、専門家に任せること
ここで懸念されるのが、この本を読んで、短絡的に自分もやってみよう、思うことです。行動の原理には科学的なものが含まれており、それは誰からみても同じではあるわけですが、技術的な部分は、お子さんの症状や親子関係などにより、繊細に扱わなくてはいけない部分です。行動の原理を学ぶことで、親も、子も楽になっていく部分がたくさんあると思いますので、ぜひその部分を参考にしていただき、実際の療法については、専門家の指導を受けられることをおすすめします。
まとめ
私たちが悩むとき、ほとんどの場合は、視野が狭くなっていることによるそうです。私自身、子育てで悩んでいたときは、目の前の問題に振り回され、大きな見地で物事をとらえたり、長い目で問題を考えたりすることができなくなっていた時でした。そんな時に、そうか、そういう考え方があったんだ、なるほど、そんな方法もあるんだね、と、視野を広めたり、目からウロコの体験を与えてくれたもののひとつが、今回ご紹介した本たちです。ぜひ、参考にしてもらえたらうれしいです。
子育て中はなかなか読書の時間もとれなかったり、ついつい誰かに自分の問題を肩代わりしてもらいたい、と思ってしまうこともあるかと思います。すべての本にも通じていますが、まずは、親さん自身が、楽になる子育てをしていただきたい、ということです。子育てはただでさえ、大変なモノです。そのうえ、発達に特性をもつ子達の子育ては、ひと手間もふた手間も余分にかかり、いつパニックやかんしゃくがでるかもわからず、周りからの理解も得られにくく、苦しい大変な子育てとなってしまうことが多いのです。
まずは、親さん自身が楽になれる時間を取ることを第一に考えてください。保頑育園や療育などをフルに活用してください。いいんです。頑張り屋さんの親さんほど、自分が楽をすることに罪悪感をもったり、周りの目を気にして、もっと頑張らないとと自分を追い詰めたりしがちです。でも、子育てで一番大切なのは、親である私たち自身が人生を楽しんでいることです。
自分自身が楽になり、人生を楽しむようにこころがけていくことが、自分だけで無く、子どものためになる、ということを、ぜひ知っておいていただきたいと思います。苦しんで頑張るよりも、実は子どもの問題が早く好転していくのです、本当です、だまされたと思って、今日から、いまこの瞬間から、自分を一番大切にすることへの罪悪感を手放して、たくさんの愛情を、自分自身へと降り注いでみてくださいね。
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